モバイル(スマートフォン向け)アプリやゲームのデザインと開発を行うためにGoogleとAppleの開発者登録の比較と検討を行いそれを簡単にまとめてみました。



開発者登録の比較について


スマートフォン向けアプリやゲームを開発するにあたって、GoogleのAndroidかAppleのiOSのどちらを開発するかを検討しました。
ここが2択に絞られているのは、日本や世界の市場や開発環境が整備されているのがこの2大企業しか居ないということがあります。
ネット上の情報やコミュニティーも多く、調査しやすいというメリットがあります。

どちらもアプリの公式ストアを利用するためにアプリ開発者の登録が必要となります。
そこで開発者登録するための方法を調査して比較検討を行ないました。

開発者登録料が安いこと


スマートフォンアプリの開発者登録をするためには登録料を支払う必要があります。
アプリの開発リリーススタイルは基本的には3パターンであり、
  1. 無料アプリ
  2. 無料アプリ&広告表示
  3. 有料アプリ
となります。アプリによってはこれに課金要素が加わります。
よっぽどの注目作品やマーケティングが良くない限り、利益はほとんど見込めないこともあるので、始めるにあたってはできるだけ費用がかからないように考えました。

登録費用の比較


圧倒的に初回登録料だけの Google Play デベロッパーが安いです。Apple デベロッパープログラムはなぜこんなに高いのでしょう。

登録料(例)
初回1年更新5年更新
Google Play
デベロッパー
$25なし$25
Apple
Developer Program
11800円11800円59000円

高い事例としてはコンシューマーゲーム業界があり、これについては色々と事情がありますが、インディーの参入やクソゲーの氾濫を回避するためという話もあります。ただクソゲーに関しては資本がある会社でもクソゲーを作ることがあるので何ともです。

他には日本で発売するゲームのレーティングを決めるCEROの審査費用が高いということもあります。海外ではIARCが無料で審査するのでこれからはすべてこちらになるのではないでしょうか?

近年業界的にも企業は別として、個人や学生の参入のハードルを下げている感じがありますが、Appleがここまで強気で収入を得ようとしている理由は何なのでしょうね。

スマートフォン端末のシェアはほぼ2択


以下に2020年の「モバイルOS市場のシェア」についてのデータがあります。
前述もしていますが、このデータから見てもスマートフォンのシェアはほとんど2択と言って良いでしょう。
他のメーカーのOSもありますが、モバイル扱いとしてプレイステーションなどスマートフォン以外も含まれているので同系の端末シェアは少数だと思われます。

となると「日本」市場をターゲットにするなら iPhoneシェアの高い Apple デベロッパーが狙い目ですが、「世界」市場では断然 XperiaやGalaxy、PixelやAQUOSなどで採用している Android が多いので、よっぽど日本限定でヒットするアプリやゲームを作らないのであれば Google Play デベロッパーで問題ないと思います。

日本世界
Android35.50%72.92%
iOS(iPhone)64.34%26.53%
Sumsung0.03%0.22%
PlayStation0.07%---
不明なOS0.04%0.13%
Kai OS---0.07%
その他のOS0.00%0.06%
Windows0.01%0.03%
Linux0.00%0.02%
不明なNokia---0.02%
BlackBerry OS0.00%---
statcounter.com調べ(Mobile OS Market Share 2020/10)


開発者登録について


Google Play Console


GoogleはPlay Consoleへの登録が必要となります。


Google Play デベロッパー アカウントへの登録
1 回限りの登録料(US$25)が必要になります。お支払いには以下のクレジット カードやデビットカードを使用できます。

Google Play Consoleの登録料は1回限り25ドルなので1ドル110円としても2750円くらいです。しかも更新料は一切かかりません。

Androidの開発は、Windows/Mac/Linux で行うことが出来るため、WindowsがメインPCな人には環境構築しやすいです。

主な開発言語は、kotlin、java、c#、c++となります。

Apple Developer Program


一方のAppleは、Apple Developer Programへの登録が必要となります。


App StoreでAppを配布する予定がある場合、Apple Developer Programに登録してください。年間メンバーシップの料金は11,800円です。

なんと、「年間11800円」もかかります。年に11800円以上のアプリ・ゲームの収入または、趣味の経費とでも割り切らない限り維持していくのは困難かと思われます。

Appleにはメンバーシップ登録料の免除の仕組みもありますが、営利を目的とした個人事業者などは条件には該当しないようです。


対象条件
対象地域を拠点とし、App Storeで無料Appのみを配信する非営利団体、認定を受けた教育機関、または政府機関は、Apple Developer Programメンバーシップの年間登録料の免除を申請することができます。Appleで申請の内容を審査し、承認の可否をお知らせします。

対象地域:オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国本土、フランス、ドイツ、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、韓国、英国、米国。

iOSの開発は、基本的には Macのみです。iPhoneアプリ開発としては Windowsでも開発できますが、利用できるものが限定されてしまうことや Macが必要な場面が出てくる可能性があるのでおすすめできません。

主な開発言語は、Swift、Objective-Cとなります。

売上手数料はあまり変わらない


売上手数料については、開発したアプリやゲームを有料販売する場合に限定されます。無料配布(広告あり・広告なし)については関係ありません。

今までは、収益に関わらず利益の30%が手数料として差し引かれていましたが、GoogleもAppleも手数料の引き下げを発表しました。

引き下げ後は、小規模なデベロッパー(年間収益が100万ドル未満(約1億円未満))についてはどちらも売上から手数料15%が差し引かれます。

Appleは引き下げを2021年1月1日より開始しており「App Store Small Business Program」への申請を行うことで適用されるみたいです。


一方のGoogleは、2021年7月1日から実施を予定しており、対象者は利用規約への同意が必要となります。ですのでこの7ヶ月間だけはGoogleの方が15%高くなります。


手数料差し引きの例


仮に100円のアプリを1000人に売ったとしたら(まあよっぽどヒットしなければ1000人になんて売れませんけど・・)、
今までは、
100(円)×1000(人)=10万円
なので30%で3万円が手数料として差し引かれて【7万円の利益】となります。

今回の引き下げが入ると、
100(円)×1000(人)=10万円
なので15%で1万5000円が手数料として差し引かれて【8万5000円の利益】となります。

LINEスタンプ手数料は大規模事業者扱い?


比較にはなりませんがLINEスタンプの場合だと、利益からAppleまたはGoogleの手数料30%が引かれてそこからさらにLINEに50%の手数料が徴収されます。
LINEは大規模事業者なので30%のApple/Googleの手数料は多分下がらないと思います。

仮に120円のスタンプが1000人に売れたとして
(よっぽどヒットしなければ1000人は行きませんけど・・)

120(円)×1000(人)=12万円
なので30%で3万6000円がAppleまたはGoogleに手数料として差し引かれて8万4000円となり、
さらにLINEに50%の手数料が差し引かれると【4万2000円の利益】となります。
(LINEにクリエーター登録してるのにAppleとGoogleの手数料まで取られるのはなんか微妙な感じ・・)

大規模事業者は30%でもGoogleとAppleで違いがある


無縁な話ですがこのAppleとGoogleの手数料引き下げは、大規模事業者(年間収益が約1億円以上)となると大きな差があります。

Appleは、収益が約1億円以上となった日から30%となり、15%に戻るには年間で収益が約1億円未満となる必要があります(翌年から1年間の集計)
ですので翌年は収益が約1億円未満の間にも30%は継続します。

Googleは、同じく収益が約1億円以上となった日から30%となりますが、毎年カウントされるため約1億円未満分は毎年15%となります。

まとめ


初めてのスマートフォンアプリ開発なので導入がしやすい Androidからにしました。
現状の Windows PCがそのまま開発環境に使えることも理由です。

なのでアプリ開発のためにGoogle Playの開発者登録費を払い、GooglePlayアプリ開発者となりました。

支払い後にメールが送られてくるので、領収証の代わりとして取引メールのPDF化もしくはGoogleお支払センターで表示される取引明細をPDF化を行ないましょう。




作成日:2020/11/26

更新日: